2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
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「中計やめた 打つ手機敏に」・・藤江太郎 味の素社長談

 昨年、中期経営計画(中計)をやめると発表しました。十数年前から考えていたことです。3年先の社会や経済状況がどうなっているかなんてわからないのに、精緻に計画を作りこむことに疑問を抱きました。

 中計作くりに費やすエネルギーはかなりのもので、「出来たときには疲れ果てて実行する余力がない」という冗談みたいなことが起きていました。目標をクリアするために最終年度につじつま合わせができてしまうことにも違和感がありました。当時は、役員会などで「中計やめた方がいいですよ」と言うと、「何言ってるんだ」とよく怒られたものですが、一方で、現場の多くの社員は「また中計の季節が来ちゃったか」と否定的な感覚を持っていました。それでも「中計は作らなければならない」という認識でした。あるのが当たり前だったんです。

 

 短期的な経営計画は、数字を「敵」にしてしまいます。細かな目標が示され、部門ごとの目標達成率がボーナスなどに影響しました。そうなると、「いかに達成しやすい目標を設定するか」という悪循環が起きてしまう。あらゆる理由をつけて無理のない目標にできるのが「いいマネージャー」でした。挑戦しづらくしているこの仕組みもやめました。

 だからと言って、無計画なわけではもちろんありません。今、2030年の「ありたい姿」を示し、そこに向かうためのロードマップを作っています。挑戦的で野心的な目標を設定し、機敏に打つ手を変えていく。そのための実行力を磨く経営にシフトしようとしています。

 すべての原動力になるのは「人財」です。売り上げなどの「分子」を、コストなどの「分母」で割り、その数字が大きくなるようにするのは理解できますが、日本企業の多くは分母を削ることに集中し過ぎているように感じます。本来、分子を増やすのが経営です。そのためには挑戦が不可欠であり、従業員一人ひとりのパフォーマンスが重要です。人に投資し、志に基づく仕事ができれば、エンゲージメント(愛着)や挑戦へのモチベーションが高まるはずです。

 

 中計をやめたことで注目されていますが、プレッシャーは感じていません。状況が変わり、別のリーダーが適任と判断されれば、その人に良い形でたすきをつなぐのが私の経営責任の取り方です。後継者の育成計画はすでに作っています。

 <資料:朝日新聞・202431日・「オピニオン」より抜粋>

 


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