<流れる雲のように自由な心で生きるために>
○○ マインドフルネス ○○
( SUNTORY 「美感遊創」vol188 【心と体の健康塾】より抜粋
監修/医学博士 保坂 隆先生)
歳を重ねるとともに、過去のことや先のことなどに思いを巡らすことが増えてきた―。
そう感じることはないでしょうか。前向きに生きようと思っていても、
不安や心配などがあると、気持がそこから離れられなくなることも…。
そんな、次々と現れる心の重荷を、流れる雲のように受け流し、
健やかな心で過ごす方法が「マインドフルネス」です。
近頃注目の心の整え方を、専門ドクターに教えていただきます。
こんな時、「マインドフルネス」を
☑ 苦手な人と話すのが憂うつな時
☑ 過去のことを思い出してくよくよしている時
☑ 将来に対する不安感がわいてくる時
☑ ストレスでイライラがおさまらない時
☑ 自分と他人を比較し他人をうらやんでしまう時
☑ 忙しくて、余計にうまくいかず不安が募る時
☑ 右の林はワンぺナ、左の林はOB、前方は深い谷でOB…
そんな打ち下ろしのテイグランドに立った時
先生、「マインドフルネス」って、つまり何ですか?
「今ここに集中すること」などと訳されていますが、分かり易くいうと、“心が落ち着いて、雑念がない”状態。アメリカで心身の健康管理に応用され、ストレス低減法として広がりました。その後、様々な医学的な効果が示されたことから、精神医学・心理医学の治療に取り入れられるようになり、一般の人々の間でもリラクゼーションやメンタルトレーニングとして注目が高まっています。
“雑念がない”と云うと【心が無になる】状態をイメージする方が多いようですが、それは誤解です。なぜなら、無心になろうとしても、私達の心の中には次から次へと雑念が浮かんでくるものだからです。大切なのは、雑念が浮かんでもほっておくこと。その雑念に心が取りつかれると、苦しくなります。「ああ、雑念が浮かんだな…」と、雑念を客観的に眺めていれば、やがて消えていくはずです。
雑念と云うのは、いわば青空に浮かぶ雲のようなもの。私は病院で患者さんにマインドフルネスを指導するとき、青空を流れて消えていく雲の動画を見てもらい、そのイメージを伝えています。
なぜ、心の中に雑念が次々と生まれるのでしょう?
それは、脳そのものが本来、心配性な性格だからです。気になることが色々と浮かんでくるのは、生きていくためにリスクを回避しようとする本能ともいえるでしょう。
過去を振り返って後悔のネタを探したり、将来の不安や心配の材料を集めたりするのは、その人の性格のせいのように思われがちですが、実は脳の仕業。私たちは一日におよそ20万もの雑多なことを考えているのですが、その中身の多くはちょっとした後悔や何気ない不安です。そして、いつもそうした負の感情に追われている脳は、休まる暇がありません。
そこで、脳の情報処理をいったんストップさせて、脳を休ませてあげましょう。すると心が軽くなり、雑念がない状態に。そこに導くための手段が瞑想と考えていいのかもしれません。
頭の中ではどんなことが起きているのでしょう?
脳の状態を机に例えると分かり易いと思います。
何かの作業を続けていると、余計なものやごみがどんどんたまって、周囲が散らかってきます。しかし、作業をいったん止めて机の上を全部片付け、きれいに掃除してあげると、すっきりして新鮮な気分になりますよね。
つまり、頭の中を、定期的にクリーンアップすることにより、気持もすっきりして穏やかな状態になるわけです。
こんな状態のときは、ストレスが軽減し、集中力や記憶力が向上することがわかっており、鍛錬すれば、感情を上手にコントロールできるようになったり、免疫の働きが高まったりすることも科学的に実証されています。
感情を上手にコントロールするには?
初心者には難しいことのように思えるかもしれませんが、誰でもすぐに心の状態をリセットすることができます。
実は、脳は心配性な一方で、他のところに意識が向くと、マイナスの感情がお留守になるという特性を持っています。掃除などに集中していたら、心配事が頭から消えていたという経験はないでしょうか。それと同じことで、心が晴れない時には、取り敢えず何か別のことに意識を集中すればいいのです。
日本には座禅の文化があり、マインドフルネスは比較的なじみやすい静的リラクゼーションです。時には流れる雲のように、身も心も解放してみてはいかがでしょうか。
マインドフルネスで雑念の一掃を!!
きっと心が晴れ晴れしてきます!!!