2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
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32年ぶりの再会】

 過日、静岡(浜松)に出張の機会があった。12日の業務を終えて、その日の夕刻に、名古屋まで足を延ばして、愛知県に居住している昔の会社同僚・友人2人及び同じ時期に業務上でお世話になった弁護士U氏と再会を果たした。

 (私を含めて)4人は、仕事上もさることながら、仕事を離れて、時々食事や旅行、またU氏を除く2人(A氏とK氏)は時折GOLF遠征なども楽しむ仲間・お付き合いがあった。

 

 会社の同僚のA氏、K氏とは、飲み会も結構頻繁(?)にあったし、勤務場所が変わっても、時々、集まっては、宿泊込みでGOLF+宴会を楽しんだ仲である。そんな我々に、時折、弁護士U氏も合流することがあった。氏はGOLFには興味がなく、専ら一緒に旅行(温泉+宴会)を楽しむのが中心だった。

 

 そんなU氏が登山を趣味としていることを知ったのは仕事上でお会いして間もなくの頃だった。当時、私も少しは登山を続けていたので、お会いすると自然に山の話になった。その頃45歳。氏は確か345歳だったと思う。

 この時期、私は、勤務地の名古屋から(他の登山仲間と)北アルプスの唐松岳~五竜岳~鹿島槍ヶ岳~爺が岳の縦走に参加したり、冬は、岐阜方面のスキー場や山形・蔵王へ車でスキー旅行するなど、まだ体力があり元気があった。

 

33年前の剣岳縦走】

 

そんなある日、U氏から北アルプス剣岳縦走のお誘いがあった。名古屋からの剣岳遠征は、なにしろアプローチが長く、少なくとも45日は必要と思われたが、氏からの提案は、名古屋・小牧空港から富山空港行きの、夏季シーズンだけ運航するコミュッター航空を利用するものだった。航空機利用で1日は短縮できる勘定だった。そして私にとっては生まれて初めて(?)の航空機利用の贅沢な登山計画であった。

 

 こうして二人は、夏山・剣岳縦走を決行することとなった。出発の日、名古屋市の某所(確か、栄通りの裏通り周辺だったと思う)で待ち合わせをして、U氏の奥さんの運転する車で、小牧空港へ向かった。彼は、空港でちょっと心配そうに見送る奥さん(確か結婚間もなかったと思うが…)と、しばしのお別れをして機上の人となった。

 小牧空港からの飛行機は8人乗りで、結構揺れがあった。それでも北アルプス上空を通過するときは、懐かしい飛騨山脈(穂高連峰など)を眺めて、1時間半で富山空港に無事到着した。

 

 それからは富山空港からバスで立山・弥陀ヶ原を経て剣の山へ入る。その後の3日余りは、岩壁の登り下り、そして有名なカニのタテバイやカニのヨコバイ等を必死の思いで通過し、とうとう剣岳の頂上に立つ。その瞬間に彼は思わず万歳三唱したのを思い出す。頂上を極めてからも引き続き難行は続く。それから数時間して、やっと岩から解放されたのもつかの間、その後は、延々と続く剣沢の雪渓を下る。雨混じりの天気に雪渓下りにも難渋させられる。時折、雪渓道が不規則に切断されて、道がよく分らない等に悩まされながら、やっと3時間半の雪渓下りから解放されて、夕刻、露天風呂にたどり着く。長い長い1日が終わり、山小屋(阿曽原小屋)で疲労困憊して眠りこけた。

 

しかしここで安心はできない。明日はこの先にさらに、昔、黒部ダムを建設したときに工事関係者が通った道幅6070センチほどの狭い、危険な山道<水平歩道>という道が延々と10数キロも続く。水平とは言うものの、高さ78百メートルの岸壁の真ん中を削っただけの狭い道だ。上下には数百メートルの断崖絶壁が続く。下を見ると、200300メートル下を黒部川が流れ、上を見るとやはり数百メートルの断崖絶壁が続く。およそ13キロ余りの水平歩道を、慎重に下る。ともかく、「落ちたら死ぬ!」そんな思いを8時間余り考えながら慎重のうえにも慎重に歩く。そのうちU氏が足の痛みを訴える。3日間の岩登りと雪渓下りと断崖歩行とでとうとう足の疲労による急性関節炎に悩まされている。

 

私も昔、北アルプス槍・穂高連峰縦走で経験したことがあるが、片方の足に急性関節炎が出ると、いずれもう片方にも炎症が起きる。こんな狭い断崖道では、手も足も貸せない。多少荷物を手伝ってあげるも、ともかく一人で歩いて頑張ってもらうしかない。それにしてもともかく足を踏み外してはならぬ。歩くスピードは遅くなってもとにかく一歩一歩確実に歩くしかない。励ましながら、慎重に歩いて、とうとう水平歩道を抜けた。あとは、欅平(けやき平)まで、山道を下るだけだ。彼は、歯を食いしばって下山した。そしてやっと欅平に到着。二人は固い握手を交わした。彼の眼には涙が光っていた。

 

秋の夜長、私達4人は久しぶりに名古屋で再会し、盃を交わしながら、そんな30数年前の思い出を語り合った。

誰かが言った。「朋あり 遠方より来る また楽しからずや」

<有朋自遠方来、不亦楽乎?> 孔子


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