2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
<日本人のからだ―痛みと疲れの正体>
(文芸春秋2月特大号 対談記事「甲野善紀・奥谷まゆみ」より抜粋) ・古武術の探究を通じて、日本人の身体感覚の変遷を解き明かしてきた武術研究者・甲野善紀氏。OLから転じて整体士となり20年。独自の整体理論が女性の間で強い指示を受けている整体指導師の奥谷まゆみ氏。異色の二人が語る「日本人のからだ」とは何か。 ・「最近、大都市の街中は勿論、地方の小さな町を歩いていても思うのですが、そこで道路を掃いていたり、何か荷物をもっている人の姿を見ると、本当に体の使い方が下手になったなあと思います。ツーバイフォーの建築現場の横を通ったときも、学園祭の準備みたいで、およそプロとして作業しているという雰囲気じゃなくて驚きました。現代人は一昔前と比べ、本当に体を使うことが稚拙になっていますね。」(甲野) ・「現代人のからだの特徴として、重心がずいぶんと高くなっているんですね。重心は、その人がよく使う場所に移動するものですから、昔の人に比べて、頭や目を酷使しているために、重心が上がっているんだと思います」(奥谷) 「武術で言えば、重心が上に上がっているというのは、相手に制せられた状態です。手首を取られたりして、肩を詰まらされて、身動きを抑えられているのと同じですね」(甲野) ・「なぜモンゴル勢が(大相撲で)あんなに強いのかといえば、答えは明白で、彼らの育った今のモンゴルは、昭和40年頃までの日本と同じような生活をしているからです。日本でも初代・若乃花や大鵬の頃は、相撲界に入る前、石炭を運んだり、山仕事をしたりして、日々の生活の中で自然と鍛えていましたからね」(甲野) ・「腰痛のお客さんは、腰を支える筋肉自体がほとんどないんです。骨盤とか、骨盤の中の内臓とかを支える筋肉がないから、その重さがそのまま腰にドーンと乗るから、腰痛になる。腰回りの筋肉は、日常の生活の中の動き、特に重心の低い動きをすることでしか鍛えられない。ウエートトレーニングではつかない筋肉なんですね」(奥谷) ・「今、膝に痛みを抱えている中年以降の人達が多いのですが、我々に言わせれば、あれは使いすぎて軟骨がすり減った訳ではなくて、道が平たんで単純な使い方ばかりとなり、軟骨が『俺たちの出番がないなあ』と感じて衰退していってしまうんです」(甲野) ・「不安定さって大事ですよね。バランスボールとかもそうですけど、不安定な状態に置かれると体がちゃんと重心を立てられるように工夫してくれるので、自然と正しい体の使い方が身に着く。平らな何もない道だと、変な歩き方でも歩けてしまうから、気づかないんですね」(奥谷) ・「いきなり現代人を昔の生活に戻すことは出来なくても、現代の暮らしをしながら、少しでも体の感性を取り戻す方法はあると思います。家事でもスポーツでもとにかく、くたくたになるまで体を使うことです」(奥谷) 「人間は時々生活をリセットする必要があるでしょう。養老孟司先生が都会と田舎の『参勤交代』を提唱されているのも、そのためでしょう」(甲野) ≪なかなか面白い対談でしたが、なるほどと頷かされる面も多々ありました≫ PR |
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