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 ~ずっと歩ける自分でいるために。

今日からできる3つのこと~

         監修  管理栄養士 山口 千晶著

             (月刊 監査役 201810月号・No.687

「知って得する食事学」より抜粋)

 

 フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことはありますか?

 これらの人口は近年増加しています。これら3つの違いと、その予防策について解説します。

 

 高齢になるにつれて、体が衰えてきたなと感じることはだれでもあることです。この「衰えてきたな」をそのまま放置するのか、何か対策をするのかによって残りの人生の生活が変わってきます。寝たきりの生活ではなく、自分の力でずっと歩ける自分でいるために、フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームについてぜひ知っておきましょう。

 

 ・フレイルとは?

 フレイルとは、「Frailty(フレイルティ)」からきており、日本語に訳すと「虚弱、老衰」となります。

 厚生労働省はフレイルを、「加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態」としています。<健康と要介護の間の状態、すなわち、適切な介入や支援により生活機能の維持向上が可能な状態を指す言葉が「フレイル」です>

 

 ・サルコペニアとは?

 サルコペニアは、ギリシャ語で筋肉を表す「sarx(sarco:サルコ)」と喪失を表す「penia(ぺニア)」を合わせた言葉です。つまり、加齢に伴う筋力の低下、又は老化に伴う筋肉量の減少を指します。

 サルコペニアの簡単な評価方法として、両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲んだ時に、「囲めない」「ちょうど囲める」「隙間ができる」の順にサルコペニアの可能性が高まる とされています。

 個人差はありますが、40歳前後から徐々に筋肉は減少傾向がみられ始め、その傾向は加齢とともに加速していきます。

 

 ・ロコモティブシンドロームとは?

 ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)は運動器症候群という意味で、運動器(筋肉、骨、間接、軟骨、椎間板など)に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態のことを言います。これらが低下すると、日常生活が困難になり、悪化すると要介護・寝たきりの状態になってしまいます。

 厚生労働省による調査では、要支援・要介護が必要になった原因の25%を「関節疾患」「骨折・転倒」が占めています。いつまでも自分の足で歩き続けるためには、いかに運動器の維持が大切かということが分かります。

 

 

今日からできる3つのこと

 

⓵ 自分の生活機能についてチェックしてみましょう

階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか       0.はい 1.いいえ

椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか 0.はい 1.いいえ

15分間くらい続けて歩いていますか             0.はい 1.いいえ

・この1年間に転んだことがありますか             1.はい 0.いいえ

・転倒に対する不安は大きいですか              1.はい 0.いいえ

・6か月間で2~3kg以上の体重減少ありましたか       1.はい 0.いいえ

BMI18.5未満ですか                    1.はい  0.いいえ

・半年前に比べて硬いものが食べにくくなりましたか      1.はい   0.いいえ

・お茶や汁物等でむせることがありますか           1.はい  0.いいえ

・口の渇きが気になりますか                 1.はい  0.いいえ

 

 皆さん何点になりましたか? 点数が高いほど生活機能に注意が必要な状態です。厚生労働省から基本チェックリストが出ていますので、気になる方はぜひ詳しくチェックしてみてください。

 

⓶ 筋肉を育てる食事をしましょう!

 フレイルやサルコペニア、ロコモティブシンドロームを予防するためには、たんぱく質の摂取が非常に重要です。タンパク質は筋肉を作る基になっており、たんぱく質摂取量が足りていないと、いくら運動を頑張っても筋肉はつかない! というほど重要な栄養素です。「日本人の食事摂取基準」(2015年版厚生労働省発表)では、160g程度のたんぱく質摂取を推奨しています。60gのたんぱく質量を目安でいうと、1食当たり片手のひら1つ分程度の大きさのたんぱく質が豊富に含まれている食材(肉・魚・卵・大豆製品等)が取れている状態です。タンパク質で今注目されているのが必須アミノ酸の「ロイシン」です。

 ロイシンは赤身の肉やレバー、マグロやタラ等の魚にも豊富に含まれています。また、十分にたんぱく質を取っていても摂取エネルギー量が少ないと、せっかくとったたんぱく質が筋肉になる基として使われずに、エネルギーとしてつかわれてしまいます。十分エネルギーを確保したうえで、たんぱく質を摂取することが筋肉を育てます。さらにプラスで、ビタミンDも意識して摂取できるとよいです。

 

⓷ 簡単筋トレにチャレンジしましょう!

 筋力トレーニングをすると、摂取したたんぱく質の筋肉合成への利用効率が高まるとされています。また、運動により骨を強くする効果が期待されています。今回は3つの簡単筋トレを紹介しますので是非テレビを見ている時間や、いろいろな隙間時間に取り入れてみてください。次の動作を大体8秒ほどかけてゆっくり行ってください。1セット10回を目安に13回行えるといいですね。

 

  椅子立ち上がり(大腿四頭筋の筋トレ)

  足を腰幅よりやや広く開いて椅子に座り、手は腰に当てる

  しっかりと足を踏みしめながら4秒かけてゆっくり立ち上がり、4秒かけてゆっくり座る

  もも上げ(腸腰筋の筋トレ)

  椅子に座って、手を椅子の座面に置き体を安定させる

  片足づつ膝を胸に引き付けるように4秒かけてゆっくり上げ、4秒かけてゆっくり下す

  かかと上げ(下腿三頭筋の筋トレ)

  椅子の後ろで椅子の背もたれに手を置き、足を腰幅に開いて体を支える

  つま先立ちするように、かかとを上に4秒かけてゆっくり引き上げ、4秒かけてゆっくり戻す

 

いつまでも自分の足で歩けるように・・・ゴルフのスコアアップのためにも

〇 まずは自分の状態を知る

〇 筋肉を育てる食事を考える

〇 簡単筋トレにチャレンジ

 

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