下半身をダイナミックに使う畑岡(C)日刊ゲンダイ
スポーツの秋たけなわの11月4日(日曜日)。世界の各地でいろいろなスポーツが行われていて、テレビやNETニュースの観戦で忙しい1日であった。その中で嬉しかったニュース(私の偏見だが・・・)が二つある。その一つが、日本で開催されたアメリカ女子プロゴルフ(TOTOジャパンクラシック)のトーナメントで、日本から参戦している畑岡奈佐選手が優勝したことだ。
そしてあと一つは、スエーデンで行われた、卓球のITTFワールドツアー・スウエーデンオープンで、伊藤美誠(ミワさん)選手が、世界ランク1・2位の中国選手を倒し、女子シングルスで優勝したことだ。テレビを見ながら、二人の活躍にひとりで歓喜した。以下は、NETニュースからCOPYさせていただいた。
【TOTOジャパンクラシック】
日本で唯一開催される米女子ツアーの今大会は、4打差3位発進の畑岡奈紗(19)が67で回り、逆転で今季2勝目を挙げた。
「今年は米国で初優勝して、その後も優勝争いをしたけど、なかなか勝てなかった。この試合で勝ちたいという気持ちもあり、結果を出せたのはうれしい。成長した姿を見てもらいたいというのがあった」(畑岡)
この日は10番までに5バーディーを奪い、通算14アンダーに伸ばして単独首位に立っていた。
ところが11番、12番と連続ボギーを叩き、C・シガンダに並ばれ嫌な流れになりかけた。しかも、続く13番でもティーショットを左ラフに曲げた。つま先下がりのライから164ヤードを7番アイアンで打ったがグリーンに届かず、28ヤードのアプローチが残った。そこで畑岡はPWを手にしてピン上1メートルにつけ、パーで切り抜けた。
そして直後の14番バーディーにつなげて再び息を吹き返したのだ。
「3連続ボギーになると立て直すのはすこし難しかった。13番はグリーンが受けているので、58度や54度のウエッジではピンに寄らない。PWで転がす方がライン出しができるしイメージしやすい。米ツアーに行ってから、やらなければいけないと覚えた」(畑岡)
タフな設定の米ツアーで戦うには、飛ばすだけでなくアプローチでも多彩な技が要求されるのだ。
■「下半身の使い方がまったく違う」
本大会7年ぶりの日本人優勝だが、畑岡は日本ツアーの女子プロとはスイングも違う。
「下半身の使い方がまったく違う」と田原紘プロがこう解説する。
「だれが見てもわかるように、小柄な畑岡(158センチ)はインパクトで左足が勢いよくジャンピングしています。トップからクラブと腕は下へ動き、左足は上へという相対運動によって、パワーを効率よく最大限に引き出している。それを可能にしているのは下半身を大きくねじり、つられるように上半身が動いているからです。上半身より下半身のほうが大きく動いている。だから上半身に余分な力みがなく、ヘッドを走らせることができる。ところが、多くの日本人プロは逆。下半身をなるべく動かさずに、テークバックは左肩を右足のほうへと上半身が大きく動いている。するとトップから手が遠回りして、インパクトに合わせにいってしまう。それでは飛距離、方向性とも畑岡にはかなわない」
畑岡が米ツアーに本格参戦したのは、昨年からだ。2016年日本女子オープン(栃木・烏山城CC)で初優勝する前に、米ファーストQTを通過している。
その時、すでに2020年東京五輪出場を目標に掲げていた。世界ランクが五輪出場資格を左右するだけに、ポイントが高い米ツアーで稼ぐしかないと厳しいフィールドに乗り込んでいったのだ。
勝ちたい試合でしっかり結果を出すメンタル面の強さも、多くの日本人女子プロとは違うことがよくわかる。・・・以下省略
【卓球】またも化けた伊藤美誠。中国の研究を振り切る進化のスピード
(11/5(月) 配信 スポーツ報知より)
コピー選手は育成不能。中国を3大会連続で破ったことの価値
スウェーデンオープンというひとつの大会を戦う中で、別人のようなプレーを披露した伊藤。もちろん、それは継続的な強化の賜(たまもの)だが、ひとつの大会の中で苦戦を乗り切り、無心に戦ううちに「ゾーン」に近い集中状態に入り、恐ろしいスピードで進化していく凄みが伊藤にはある。
朱雨玲との決勝後、ITTFのインタビューに対し、「目の前の1ポイントにものすごく集中していて、気づいたら試合に勝っていた。信じられないです」と語っている。ワールドツアーで史上最年少優勝(当時)を果たした、2015年のドイツオープンでのプレーも圧巻だったが、今大会で再び「化けた」のだ。
この伊藤の優勝が、中国に与えた衝撃は計り知れない。中国のメディアはこぞって伊藤の優勝を取り上げ、中国の大手ポータルサイトのスポーツページである『新浪体育』は、「狼がやって来た! 伊藤の前になすすべなく敗れた中国チーム、朱雨玲の惨敗には失望した」と見出しをつけた。中国チームに長年帯同しているCCTV(中国中央電視台)の李武軍氏は、自らの微博(マイクロブログ)でこんなコメントを発し、警鐘を鳴らしている。
「伊藤美誠の打法はより先進的で、より速く、より威力にあふれていた。そして最も恐ろしいことは、今のところ国家チームは伊藤美誠に対抗する方法を見つけられていないということだ」
これまで、海外のライバル選手に対して日々研究を重ねながら、ナショナルチームの若手選手にその打法を模倣(コピー)させ、対策に余念がなかった中国。実は今回のスウェーデンオープンにも、伊藤の「コピー選手」である張瑞という同じプレースタイルの選手が出場していたが、技術のレベルと幅の広さは伊藤の足下にも及ばないというのが現実だ。
卓球大国・中国が最も嫌うのは、同じ海外選手に二度続けて敗れること。17年アジア選手権で平野美宇が中国選手を連破して優勝を飾った後、中国は平野のプレーを徹底的に研究し、その後は中国のトップ選手は平野に敗れてはいない。一方、伊藤は5月の世界選手権団体決勝、6月のジャパンオープン、そして今回のスウェーデンオープンと、3大会続けて中国を破った。大会のグレードで言えば、伊藤のスウェーデンオープン優勝よりも平野のアジア選手権優勝のほうが価値は大きいが、中国に与えた衝撃は同等か、それ以上と言える。
中国でさえコピー選手を作れない伊藤美誠の独創性と、中国の包囲網を突き破る進化のスピード。11月7日から開催されるITTFワールドツアー・オーストリアオープンに、中国は再びフルメンバーで臨み、全力で伊藤を攻略しようとするだろう。石川佳純、平野美宇、早田ひなといったライバルたちも黙ってはいない。古都リンツで開催される「強き女たちの戦い」が、今から楽しみだ。
・・・以上、スポーツの秋の金メダル女子二人です!
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