2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
<寝る時間より「起きる時間」を決める>・・・執筆:鳥集 徹氏(ジャーナリスト) あなたは毎晩、ぐっすり眠れているだろうか。 <残念ながら私は眠れていないが・・・> 日本人の睡眠時間は短くなる傾向にあり、1日の睡眠時間が6時間未満の人は2007年には3割未満だったのが、15年には約4割に増えた(平成27年【国民健康・栄養調査】より)。 深夜もコンビニのまばゆい灯が街路を照らし、夜通しテレビ番組が放送され、日本が「眠らない社会」になって久しい。 スマホを四六時中手放さず、深夜までSNSやオンラインゲーム、ネットサーフィンに興じる人も多い。しかし、睡眠不足が続くと日常生活や仕事に差し支えるだけでなく、健康寿命に大きな悪影響を及ぼすことがわかってきた。 もともと、病気が睡眠不足の引き金になることは知られてきた。 「糖尿病になると口が渇く、夜間頻尿になる、神経の合併症で脚に痛みやしびれが起こるといった症状で、眠れない人が増えます。 また、高血圧では交感神経(昼間の活動性を高める自律神経)が亢進して眠りにくくなります。降圧剤の作用で、眠れなくなることもあります。 さらに、われわれの調査では、糖尿病、高血圧、脂質異常症を合併するメタボリックシンドロームになると、より不眠経験の割合が高まり、治療中では36%、放置例では47%にも及ぶことがわかりました」 うつ病の人も、不安や緊張で交感神経が亢進し、不眠症になりやすい。 眠らなくて困っている人は、まずこうした病気や薬が要因になっていないか調べてもらって、適切な治療を受けることが大切だ。 逆に睡眠不足が病気を引き起こすこともある。 「睡眠不足になるとインスリンの働きが弱まり、血糖値が上がります。眠たいと昼間の活動性が落ちる上にストレスとなりますから、それを回避する行動として食欲が増します。その結果太りやすくなり、糖尿病や高血圧を引き起こすのです。睡眠不足があると、糖尿病も高血圧もリスクが約2倍になると報告されています」(久留米大 内村教授) 睡眠不足は癌にも関係する。40~79歳の女性約2万4千人を7年間追跡した研究で、睡眠時間が6時間未満になると乳癌リスクが約1.6倍に高まる結果が出ている。(大崎国保コホート研究)睡眠不足になると、性ホルモンを抑制するメラトニンの分泌が減るため、乳がんになりやすいと言われている。 <認知症のリスクも上がる> それだけではない。睡眠不足は認知症のリスクを高めることもわかってきた。 「アルツハイマー型認知症は、『アミロイドβ』という老廃物が脳に沈着することで起こると考えられていますが、動物や人を対象にした研究で睡眠不足や睡眠の質が悪いと脳脊髄液中にアミロイドβが増えることを示す結果が報告されています。また、15年には65歳以上の人約千人を対象にした研究で、『十分に眠れない』と回答した人ほど、5年後に認知症を発症する人が増える結果も報告されました。認知症になると不眠症の人が増えることは知られてきましたが、睡眠不足が認知症を引き起こす可能性もあるのです」(日本睡眠教育機構理事長・宮崎総一郎医師) なぜそうなるのか。それは睡眠が、脳のメンテナンスに不可欠だからだ。 「ヒトの脳の重さは体重の約2%ですが、目覚めている間フル回転しており、安静時でも体全体の20%ものエネルギーを消費しています。その過程で、有害な老廃物が大量に生じるのですが、実は最近の研究で、脳内で睡眠中に脳脊髄液が循環して、とどまった老廃物を脳外に排出する循環システムがあることがわかってきました。つまり、睡眠不足になるとアミロイドβを十分排出できなくなると考えられるのです」(同前) 「眠ることが困難で、眠気やだるさのために日中の精神運動機能に影響がある場合は、睡眠薬を飲んだ方がいいでしょう。不眠症で睡眠薬を飲んだ人と飲まない人を比べると、飲んだ方が中途覚醒(睡眠時間中に尿意などで目が覚めること)が減り、転倒リスクが減るという研究成果もあります。また、糖尿病や高血圧の人は、薬で眠れるようになったことで症状が改善する人もいます。但し、長期間飲み続けるのはよくありません。私たちの外来でも1年でやめてもらうことを目標にしています。『睡眠薬がないと眠れない』という人も多いのですが、睡眠薬は頼るものではありません。『賢く利用する』ものなのです」(東京慈恵医科大学教授 伊藤洋医師) <年齢で違う適切な睡眠時間> 「睡眠時間はエネルギー代謝と関係しています。年を取るほど代謝が落ちて睡眠時間が短くなり、眠りも浅くなります。65歳以上になると平均6時間ほどしか眠れませんが、それは自然のことなのです」(内村医師) 実は04年に、名古屋大学の研究グループが日本人11万人を10年間追跡調査した結果、 平日の睡眠時間は7時間の人が最も長生きという結果が出ている。 「高齢者は夜中に目覚めてしまい、よく眠れなかったと訴える人が少なくありません。ですが話を聞いてみると、床に就く時間が早すぎることが多いのです。朝の適切な時間に目覚めるためにも、高齢者は逆に夜更かしをした方がよい。また、夜眠るためにも日中はできるだけ活発に動き、昼寝をするとしても強い眠気が出る午後2時頃に、30分位までにとどめてください」 もう一つ大切なのが、「寝る時間」より、「起きる時間」を決めることだ。 「朝目覚めて光を浴びると、睡眠覚醒リズムをコントロールしている生体時計がリセットされます。そして、目覚めてから16,7時間後に睡眠のスイッチが入るのです。例えば朝6時に起きたら、夜の10時~11時頃には眠くなる。このリズムを狂わせないためにも、朝起きる時間を一定にすることが大切です。平日に睡眠不足の場合は、休日に1~2時間朝寝坊してもかまいませんが、出来れば休日も同じ時間に起きることをお勧めします」(伊藤医師) 「カーテンを閉め切ると、体内時計をリセットするのに十分な朝日を浴びることができないので、カーテンを10センチほど開けて眠ることをお勧めします。また、寝る前に蛍光灯の明るい光で過ごすと、体内時計を狂わせて入眠時間が遅れます。ですから、寝る1時間ほど前から室内のあかりを電球程度の明るさに落とし、テレビやスマホなども見ないようにしてください。寝る前にテレビを見る習慣をやめただけで、ぐっすり眠れるようになった人もいます」(宮崎医師) また、アルコールは寝つきをよくするが、睡眠が浅くなり夜中に目覚めることも増えるので、睡眠薬代わりの飲酒はやめた方がいい。睡眠薬を飲むなら、アルコールは厳禁だ。 眠気冷ましのコーヒーもカフェインの作用で入眠を遅らせ、中途覚醒を増やす。 最後に、睡眠時間にこだわり過ぎないことも大切だ。「朝起きて、疲れが取れていて、昼間の活動に差し支えなければ、その人の睡眠は十分足りている」(宮崎医師)という。心配し過ぎも不眠の要因になる。時間にこだわり過ぎず、うまく快眠術を活用してほしい。 <今から十数年前の私の話。やっぱり眠れなくて、毎晩苦しかった。多少うつ的・半分ノイローゼの状態もあった。主治医に何回となく通い、睡眠薬やうつ治療薬も使用したが、はかばかしくなかった。ある日主治医がこんな話をしてくれた。「眠れなかったら寝なくてもいいじゃないか。そのまま起きていれば、そのうち3日もすれば眠くなるよ!」・・・そのまま起きていればそのうち眠くなるよ、という言葉は、無責任な発言に聞こえるが、正直、やってみなはれ、とも聞こえた。 その日から実行した。明け方になったら、うとうとして眠くなって、眠った。次の日も、また、次の日もそうしてなんとか眠ることができた。それがきっかけで、睡眠薬も・うつ治療薬も不要となった。あれから10数年。眠れないときは、眠くなるまで待って・・・、というあの主治医(故人)の言葉を思い出し、不眠症を克服した。素晴らしい言葉の薬であった> <以下、次回> PR |
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