2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
笑わなくたっていい 高梨は高梨でいい もっと、楽しめばいいのに。 もっと、笑えばいいのに。スキージャンプ女子の高梨沙羅を取材していて、ずっとそう思っていた。 高梨本人も分かっている。 「入り込んでしまうタイプなんですよね」。競技中は無表情。むしろ、しかめっ面に見える。 舞台が大きくなればなるほど、その傾向は強くなった。 対照的だなと思った選手がいる。2018年平昌五輪で金メダルだったマーレン・ルンビだ。 その数か月前のワールドカップ(W杯)で母国ノルウエーのリレハンメルを訪れた際、取材に応じてくれた。 「一番大事なのは、いい人生を過ごし、その時その時を楽しむこと」。笑顔で語り、その日のW杯も勝った。高梨にも、こういう心の余裕が必要なのではないかと感じさせられた。 どんな小さなミスでも正面から向き合う。風が悪くてもそのせいにしない。周囲が言うようにまっすぐで不器用だ。見ていて痛々しいほどに。ここ数年は表情が少し柔らかくなったようだが、北京五輪でも、やはり入り込んでいた。 5日の個人ノーマルヒルで4位。2大会連続の表彰台を逃し、4年後については、「今のところはちょっと分からない」というほど、落ち込み、泣いた。何とか立ち直って混合団体で大ジャンプを見せたのに、スーツの規程違反で失格に。 これまでの言動を考えたら、立ち直れないのではないか。正直そう思った。 でも、高梨は2回目を飛んだ。 しかも、最後は自分の意志だという。十分すぎる98.5メートル。ジャンプ台の正面から見ていたら、着地直後から泣いていた。泣きながら、飛んでいたのかもしれない。 棄権してもおかしくない状況だった。だが、これまでも全ての事から逃げ出さず、向き合い、乗り越えてきたからこそ、飛べたのではないか。10秒近くしゃがみこんだ後立ち上がった姿に、思わず拍手を送っていた自分がいた。 別に、笑わなくたっていい。スポーツとの向き合い方は、人それぞれだ。高梨を見て、私の考えは変わった。 (「記者が見た2022」2022.2.8 朝日夕刊 勝見壮史氏) PR |
カレンダー
フリーエリア
最新記事
(11/09)
(11/04)
(09/26)
(08/19)
(05/13)
最新TB
プロフィール
HN:
No Name Ninja
性別:
非公開
ブログ内検索
アクセス解析
|