2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
<なにがなんでもIPO?>
過日、昔の知人から聞いた話。 今をときめく、リチュームイオン電池の部品メーカー(中小企業)がある。 創業して5年だが、生産工場は日本に近いアジアのある国に開設し、ようやく事業も軌道に乗りかけてきた。 生産工場を自前で作ると“カネ”がかかる。 規模、内容にもよるが、建物・設備だけでも数十億はかかる。それに生産、営業が軌道に乗るまでは運転資金もいる。 元々自己資本の少ないところからスタートしているから出資、借入等に依存せざるを得ない。外部負債の中にはそろそろ返済期限の来るものもある。いずれ上場して、資本市場から資金調達を目論んできたという。 上場を前提に起業した会社はまず事業を軌道に乗せることが先決だ。 例外的に事業が立ち上がらない段階でも上場を目指すケースがあって、それなりの受け入れをする市場もあるが、この場合には技術・ビジネスモデルがあって、事業計画がしっかり立てられていることが前提だ。 さて、該社の場合は色々スポンサー(金融機関やべンチャーキャピタルなど)に期待されてこれまで企業を立ち上げてきたものらしいが、創業5年も経過すると、そろそろ年貢の納め時が来ているらしいことは想像に難くない。 第三者的にみると、業種、会社を取り巻く業界環境、事業内容等は時代背景もあって、将来性が期待される業種・業界だ。 上場・資金調達の理由は明白である。だが、一つだけ気懸りな点がある。それは今後の「事業展開・計画」がしっかり立てられてないこと。上場後の経営管理体制も然りである。なんでもこれから作り上げる、すなわち「走りながら考えていく」という。 どういう企業を作るか、経営するかは企業の自由であるが、上場となるとそれなりの基準、線引きが必要となる。その辺を判断するのが、上場審査基準となるが、最近の取引所審査基準は、IPOが低迷していることもあって出来るだけ上場しやすくする方向が打ち出されてきた。一方で、上場後にふさわしくない企業となった場合のいわゆる廃止基準も厳しくしようとする流れ(方向)である。 例え企業として未整備や整備遅れでも、それなりの成長性や収益性が見込めるのならウエルカムとするという訳だ。やる気があって、将来性があれば、ともかく入学オーケーで、そのあとで合格点を取ってくれ。ダメなら退学ですと言う訳?です。 それでは上場審査は何のためにあるんですか? 主幹事証券の推薦は何を根拠にするのですか? 上場申請会社の必要十分条件に一定のレベルはないのですか? と疑問に思う。 それとも株式投資はあくまで自己責任でやってくれというのですか? こういう不完全な会社を良しとするIPO市場では益々上場後の事故が多くなり、退場会社が多くなり、結局市場の信頼性がますます低くなりそうな気がするがどうだろう。 個人投資家(多少経験のある私でも)は、投資判断に独自の調査もするでしょうが、頼りになるのは一定の審査・推薦を受けてきた企業という信頼感が一つの投資判断のよりどころ(前提)となるのではないだろうか。(将来性とか株価予想は別にして) 又、上場を目指す会社は、上場会社になることによって、上場会社の企業運営を通じて事業の持続的発展と社会や株主への還元をしていくという崇高な上場目的はどうなったのでしょうか? そんな矛盾と心配をよそに、該社は上場審査基準の緩和に期待しつつ、先のこと(上場後の体制整備や事業運営等)は走りながら考えるとしてIPOに突っ走っているようだ。 会社にとっては、資金調達さえできれば後はどうにでもなる、そんな楽観的な判断があるように感じてならない。 事前に危惧された事柄を“緩和”という甘い判断でやり過ごし、とどのつまりは会社も取引所も主幹事証券もだれも責任取らない。責任取るのは投資家だけである。こんなIPOでいいのだろうか、これで上場会社になったという誇り・満足感が得られるのだろうか。 たかがIPO・・・されどIPO。安売りしてもらいたくないものである PR |
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