2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
■富裕層は大都市から脱出 南部の 広西チワン族自治区の山奥にある巴馬(はば)ヤオ族自治県。人口25万人の同県に、今年5月までだけで135万人もの「観光客」が押し寄せた。多量のマイ ナスイオンを含んだ空気、豊富なミネラルを有する水、病気に効用があるといわれる山の磁力――。「一石三鳥」の効能を信じる人波は絶えない。 人気の高まりに乗じて、巴馬の水を採取したミネラルウオーターを扱う会社は17社に上った。活泉食品飲料の董事長、伍永田は「巴馬の水は300%成長が続いており、20年には200億元規模まで市場の拡大が可能だ」と中国メディアに豪語する。 台湾統一集団や深圳華顕など大手不動産デベロッパーは、北京など大都市からの「環境移民」需要が高まると見込んで、続々とマンションを建て始めた。今後、 住民が急増すれば上下水道や電気ガスなどインフラを構築しなければならない。せっかくの自然環境を汚染しかねないが、そんなことはお構いなしのようだ。 都市部を逃げ出す余裕のない一般市民は、自衛策を講じるしかない。たとえば赤ちゃんを抱える家庭では、粉ミルクの「代購」が流行している。 08年、水で薄めたミルクのタンパク質含有量を高く見せかけるため、中国の乳業各社が有害物質のメラミンを混ぜる事件が発覚。一気に国産ミルク離れが進んだ。
外来の雑草を取る大連市環境保護志願者のメンバーら(写真:遼寧省大連市) 代購は、海外在住の中国人が買った外国製の粉ミルクを、希望する中国内の家庭に郵送する仕組み。安全な粉ミルクを安く買えるとして人気を呼んでいる。 ある代購サイトでは、英国産の粉ミルクが900グラム入りで140元と中国内スーパーの販売価格の3~5割程度。安全性を証明するため、陳列棚に並ぶ商品の様子や購入シーンを撮影したビデオ映像もネットで閲覧できる。 地域ぐるみの環境保護運動も広がりつつある。7月中旬の日曜日、東北部の港町の大連(遼寧省)郊外の湖畔に老若男女が集い、ゴミを拾い、雑草を駆除した。「大連市環境保護志願者」の会員数は、1000人を超えた。 駆除する雑草は、かつて街の緑化を目指した市政府や不動産デベロッパーが仕入れた南米産の芝生に混じっていたもの。どんどん育って日光を遮り周辺の樹木が 育たなくなるが、地方政府の対策は手つかず。30代の船乗りの劉国軍は、陸に戻る度に活動に参加する。「日本や韓国のような環境が良い所は住み心地がい い。中国もそうなってほしい」。彼の言葉からは「反日」は感じられなかった。 <以下、次回> PR 環境亡国・中国 「不!(NO)」突き付けた市民 (2/4ページ) 2014/8/4 7:00
海外の観光客は中国を敬遠し、外資は直接投資をためらう。中国の国際競争力の低下を招いているとの指摘さえ出始めた。 ■環境対策の成果、人事に反映 「大気の品質が上がれば、幸福感も上がる。生態や環境を守ることは生産力を守ることでもある」。国家主席の習近平は危機感を隠さない。
中国政府は深刻な大気汚染の削減目標を打ち出したが…(写真:遼寧省の火力発電所)=ロイター 中国政府がまとめた「大気汚染に関する行動計画」では、北京など汚染が深刻な地域のPM2.5濃度を25%削減する目標を打ち出した。大気汚染の主因であ る自動車の排ガス規制も、2014年春に「排ガス規制に適応しない古い自動車を年内に600万台廃棄する」と決定。31省・自治区・直轄市に廃棄台数を割 り当てた。 ただ、実行部隊の地方政府が本腰で取り組まなければ、効果は期待できない。中央政府は「環境対策の成果を地方幹部の人事考課に反映する」と表明した。ところが、肝心の現場では混乱やいら立ちが募る一方だ。 上海に隣接する港町として有名な江蘇省太倉市は、中央政府の指導を受けて、大気汚染対策とし農家の野焼きを禁止。「放置した役人は更迭」というルールも作った。市の担当者らは連日農村を車で巡回し、煙が上がった畑を見つけると、すっ飛んで行ってやめさせた。 たしかに収穫後の小麦やトウモロコシの茎や枝を燃やせば、大量の煙が広範囲に舞い上がる。しかし、燃やさなければ、二毛作の畑に次の農作物を植えることができない。 困った農民らは、大量の茎や枝を河川に投棄し始めた。すると、市内の河川は至る所でせき止められ、市政府は水質汚染や洪水など新たな問題に頭を悩ませることになった。 場当たりの対策は、住民の不満や不信を増幅させるだけだ。6月下旬には山東省青島市で、ビール会社が基準値を超す汚染水を川に垂れ流していたことが発覚し た。だが、ビール会社に科した罰金は、わずか654元(約1万800円)。企業は大金を投じて汚染対策を施すより、汚染水を流して罰金を払った方が安く付 く。機能しない行政の対応に地元住民の怒りは爆発した。 効果の上がらない行政の対応にしびれを切らした富裕層の中には、北京など大都市から脱出する「環境移民」も増えてきた。 <以下、次回> 環境亡国・中国 「不!(NO)」突き付けた市民 (1/4ページ) 2014/8/4 7:00
北京の首都国際空港。一歩足を踏み出すと、すすけたモヤのような外気に息苦しさを覚える。最近の中国は微小粒子状物質(PM2.5)による深刻な 大気汚染に加え、使用期限の切れた鶏肉の再利用も発覚。生活を脅かす「汚染」ニュースが絶えない。政府の対応は遅々として進まず、堪えかねた市民が「不! (NO)」を叫び始めた。 ■「ゴミだらけの街」に嫌気
共同 7月中旬の蒸し暑い昼下がり。北京のある小道を、物憂げな表情の三蔵法師一行がとぼとぼと歩いていた。(写真)よく見ると、ゴミ拾いの真っ最中。たばこの吸い殻、 麺類の容器、新築マンションのチラシ――。道端に散乱する大量のゴミを1つずつマジックハンドで拾い上げ、タイヤが付いた「白馬」の首にぶら下げたゴミ箱 に黙々と放り込んでいた。 「こんなゴミだらけの街で子供を育てたくない」。沙悟浄姿の李想(33)は憤る。孫悟空、猪八戒も含めた4人の 仕事は、映画のエキストラなど。有名な「西遊記」の格好でゴミを拾えば注目を集めるはずと考え、袈裟(けさ)などの衣装は通販サイトで購入。「西遊環境保 護隊」を立ち上げた。 狙いは当たった。周りに人々が群がり、手に持つスマートフォン(スマホ)で彼らの様子を撮影。すぐさま情報共有サイト「QQ空間」や、チャットアプリの「微信(ウィーチャット)」などを通じて「見て見て! こんな人たちがいるよ」と多くの知り合いに発信していく。 日本ではボランティアによるゴミ拾いは珍しくないが、中国ではゴミのポイ捨てが当たり前。彼らの姿は驚きをもって受け止められたのだ。
深刻な環境汚染に苦しむ北京が西遊記の活動の舞台(7月、ゴミを拾う西遊環境保護隊のメンバー) QQ空間の利用者は、中国全土に6億人以上、微信も約4億人を数える。23歳の女性は「こんな暑い日に頑張る彼らを見て、自分も環境を意識しなければと反 省した」とつぶやく。「私もポイ捨てをやめる」というスマホ経由のメッセージの輪は瞬時に広がり、保護隊は「2週間前よりもゴミが減った」と手応えを感じ ている。 年々深刻化する環境汚染は中国人の健康を確実に脅かしている。データにもはっきりと表れている。 世界保健機関 (WHO)によると「肺、胃、肝臓、食道」の4つのがんの発生数、死者数は世界一。新規患者の国籍は、肝臓がんと食道がんの5割が中国人。胃がんは4割、 肺がんも3割を超す。世界人口に占める中国の比率(19%)を大きく上回る。大気汚染などの原因で平均寿命は5年半縮まったという。 李想らの活動が支持を広げているのは、環境汚染が行き着くところまで来てしまい、「このままではどうなるのか」と市民の意識を揺さぶり始めているからだろう。
先週の梅雨明け宣言から、最高気温30度以上の真夏に突入しました。 |
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