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50歳からの食事:脳より賢い腸に従え≫

 

 2014.35 日本経済新聞 電子版 より抜粋)

 

脳は目先の快楽を優先し、私たちを肥満や病気に追い込む「バカ」・・・。賢い腸をいたわり、その命令に従うことこそ、健康と幸せを実現する早道だ。50歳以降の「腸・健康法」について、免疫学者の藤田紘一郎さんに聞いた。

 

【腸のオキテ(1)】幸せを感じさせるのは脳ではなく、腸

 「腸は第2の脳」だなんてとんでもない。腸は、脳よりもずっと賢く、人体にとって最も重要な臓器です。腸内細菌は消化機能だけでなく、ビタミン類を合成したり、免疫を活性化して病原菌を排除したりする働きも担っています。更に、幸福感をもたらすドーパミンやセロトニンと言った「幸せ物質」の前駆体(ある物質が生成される前段階の物質)を合成し、脳へ送り込んでいるのも腸内細菌。つまり、若さを保ち、病気を防ぎ、幸福感を与えてくれるのは、腸なのです。

 

 現代人の腸内細菌は激減しており、野菜を食べなくなり、腸内細菌のエサとなる食物繊維の摂取量の減少、食品添加物やストレスによるダメージが、その原因です。

 怖いのは、活性酸素。大気汚染や電磁波、ストレスで体内に活性酸素が発生すると、あらゆる細胞や腸内細菌を攻撃し、ダメージを与えてしまいます。

 

【腸のオキテ(2)】本当は、腸は炭水化物を嫌がっている

 50代ともなれば、腸をいたわる食べ方に変える勝負の時期。なぜなら、50歳からは体を動かすためのメインエンジンが切り替わるからです。体を動かすエンジンは2種類あり、一つが炭水化物を糖に変え、瞬発力を生む「解糖エンジン」。もう一つは、酸素を燃料に持続力を生む「ミトコンドリアエンジン」です。

 

 活動的な30~40代のメインは解糖エンジンで、その原料はご飯やパンなどの炭水化物。50代を迎えると、今度は徐々にミトコンドリアエンジンにメインが切り替わります。腸を主に動かしているのがこのミトコンドリアエンジンで、酸素を原料としています。

 

 ところが、50歳を過ぎてからも変わらずお菓子やパンを食べていると、解糖エンジンが活発になり、ミトコンドリアエンジンがうまく回らない。すると、取り込んだ酸素は使われないまま活性酸素になり、腸にダメージを与えます。

 日本人の4大疾病のがん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病のすべてに活性酸素が関係します。中高年でこれらの病気にかかるのは、2つのエンジンを切り替えられないのが一因。50歳を過ぎたら、炭水化物類は食べない方がいいのです。

 

 「わかっているけれども、食べてしまう」。それは脳がバカだからです。脳は、性欲と食欲に忠実で快楽が大好き。「おいしい」という快感が脳を興奮させ、「食べろ」と間違った命令を下します。バカな脳の指令は無視して、まじめに体を正常に保つ腸にこそ、従うべきなのです。本当は、腸は糖が多いことを嫌がっているはず。まあ、私も疲れると「馬鹿な脳を癒してやるか」と、チョコレートを1粒だけ食べますがネ・・・・・。

 

 

 

<以下、次回>

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