2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
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何気なく使っている言葉をひもとくと、実に
面白い歴史があります。「悪いことが起こら
ないように」と祈りを込めて言い換えられた
身近な言葉を紹介します。
(監修:東京女子大学教授 篠崎晃一氏)
あ・・あたりめ
するめ ➡ あたりめ
イカの内臓を取りにぞいて干した「するめ」の忌み詞(ことば)です。
「するめ」は長期保存ができるので「幾久しく幸せが続く」に通じ、また、お金 を「お足」ということから足が8本の「するめ」は「お金に困らない」に通じるとされ、結納で納める品や相撲の土俵に埋めるなど、儀式や儀礼で使われる定番の品となっています。
そんな縁起物の「するめ」ですが、「する」という語は、身代を「する(擦る)」を連想させるとして、特に商家などでは縁起をかついで反対の意味の「あたる(当たる)」に言い換え、「あたりめ」として使うようになりました。潔いほどの発想の転換ですね。
<食物をすりつぶすための調理器具「すりばち」を「あたりばち」と言い換えるのも「あたりめ」同様に縁起をかついでのことである>
お・・お開き
終わる ➡ お開き
「お開き」は宴会や会合などが「終わること」を意味し、「終わる」という言葉の使用を避けた忌み詞です。
本来は戦場で「逃げる」「退却する」という言葉を忌み嫌って使われた武士階級特有の武士詞でした。やがて、一般社会でも使われるようになり、現在の「終わる」という意味に定着しました。特に、結婚式や祝賀会などの祝宴の場合は、「扉を開けて、新たな世界に向かっていく」という前向きな意味もかけているとの説があります。
<時代劇中でよく耳にする武士詞には、「それがし(自分のこと)」「拙者(自分を謙遜して言う)」などの言い回しがある>
ウ・・卯の花
おから ➡ 卯の花
「おから」は豆腐を作るときにできる豆乳を絞った残りカスのことです。
もともと贅沢品だった豆腐が庶民の生活に根ずいたいたのは江戸時代中頃で、以降の料理本には炒り煮、蒸し料理、汁物の材料にするなど、「おから」の様々な調理法がみられます。「卯の花」とも呼ばれますが、それは色の白いところや小さい形状が、食物のウツギ(卯月<旧暦4月>に咲くので別名「卯の花」)が咲いた姿によく似ているからとされています。
また、昭和の初めに刊行された日本初の近代的な国語辞典『大言海』には、「空(から)」と言うのを嫌って「得(う)」の花とした」と記されており、縁起をかついで災難を遠ざけたいという人々の気持ちが働いていたと考えられます。
<講談や落語の有名な演目『徂徠豆腐』では、江戸時代の儒学者・荻生徂徠は若い頃極貧で、近くの豆腐屋から「おから」をもらって飢えをしのいだと語られる>
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