2007年7月発足以来続いている一期一会の飲み仲間
<ビジネスの現場だより・・・その7>
面白い本があったので紹介したい。
「男の作法」著者:池波正太郎
この本を読むのは2回目であるが、対談形式の“語り”と著者の作品の描写・人物の取り合わせもあって面白くまた頷かせられる作品だ。
男というものが、どのように生きていくかという問題に対して、著者が生きてきた時代の「男の常識」が語られている。
「それは所詮、私の時代の常識であり、現代(いま)の男たちにはおそらく実行不可能でありましょう」と言っているが、どうしてどうして、「男を磨くという問題を考える上で、ささやかながら一つのきっかけぐらいにはなろうかと思います」とも。同感である。なかなかの食通としても知られており、「食べる」、「装う」等のいくつかの「語り」を紹介したい。
≪食べ物屋というものは、店構えを見ればだいたいわかっちゃう≫
「便所がきれいな店じゃなかったら駄目だね。この頃は、頭の毛を掻いてフケのついた手で寿司を握るやつもいるし、片づけものをしながら盛り付けもしたりするのもいる」結局「神経の回りかた」でしょう。
≪たいていの人は、ワサビをお醤油で溶いちゃうだろう。あれはおかしい≫
「お刺身を食べる時、大抵の人はワサビを取って醤油で溶いちゃうだろう。あれはおかしい」
「刺身の上にワサビをちょっと載せて、それにお醤油をちょっとつけて食べればいいんだ」そうしないとワサビの香りが抜けちゃう。醤油も濁って新鮮でなくなる。
「それから刺し身のつまとして、穂じそなんてのがついてくる。それもみんなしごいて醤油の中に入れちゃうだろう。あれもやっぱり香りがなくなっちゃうんだ」あれは刺し身の合いの手に、手でつまんで口に入れるから香りがいい。それで薬味になる。
≪お椀ものはすぐ食べることだ≫
「料理屋で、お椀のものが来たらそいつはすぐ食べちまうことだ。熱いものはすぐ食べなきゃ。本当の料理屋あたりになると、もう本当にすぐ食べるようにして神経を使って、その吸い物の温度なりを考えて出してくるわけだから」
蓋をしたままぺちゃぺちゃ喋っているのがいるが、折角の味をダメにしてしまう。すぐ食べないと、あとのをもってこれない。だから出された順番にすぐ食べちゃわなければいけない。
≪天ぷらも揚げるそばからかぶりつくように食べる≫
「天ぷら屋に行く時は腹をすかしていって、揚げるそばからかぶりつくように食べなきゃ、てんぷら屋のおやじは喜ばない」
「よく、てんぷらの揚がっているのを前に置いて、しゃべっているのがいる。そういうのはもう、一生懸命、自分が揚げているのに何だというので、がっかりするんだよ」
だから、てんぷら屋に行ったときは、とにかく出るそばから食べる。酒は少々しか飲めない。てんぷら屋に行ってビールをがぶがぶ飲んだりしていたら肝心のてんぷらの味が落ちてしまう。
≪初めていく寿司屋では、いちばん隅の方へ座るのが無難≫
店の中に、椅子とテーブルがあれば安心。テーブルに座って「一人前頼む」と言えばよい。そうすればいくら高くたって多寡が知れている。
酒が飲みたければ、「お酒1本に、ちょっとおつまみください」「そのあとに一人前ください」と言えば、おつまみだって適当に見繕って、例えば1500円程度のものを作ってくれるだろう。
「お金を払っているんだから、どこへ座ってもいいじゃないか」という人もいるが、[常連がいつ来るかわからないんだから、やっぱり一番隅の方へ座った方がいい。常連のようにカウンターに座ったら・・・・・いくら取られるかわからない]
≪唐辛子をかけたかったら、そばそのものの上に、食べる前に少しづつ振っておく≫
「そばのつゆは、ちょっと先だけつけてスーっとやるのが本当だ。東京の「藪」のそばなんかは、おつゆが濃いから、全部つけられない。先にちょっとだけつけて吸い込むと、口の中で混ざり合ってちょうど良くなる」田舎で食べるそばは一般的につゆが薄いから全部つけてもいい。
「唐辛子をかける時、おつゆの中に入れちゃうのはおかしい。唐辛子をかけたかったら、そばそのものの上に、食べる前に少しずつ振っておくんだよ。それでなかったらもう、唐辛子の香りなんか消えちゃうじゃないか」
≪うなぎ=おこうこぐらいで酒飲んで、焼き上がりをゆっくり待つとうまい≫
「会席料理みたいに、突き出しが出る、刺し身が出る、椀盛も出てくる、そのあとでウナギが出る。だからうなぎがまずくなっちゃう」
昔は、うなぎの肝と白焼ぐらいしか出さなかった。その代りおこうこうをうまく漬けてあって、それをもらって酒を飲んで待つ。そうでなければ、うなぎがまずくなっちゃう。
≪つま楊枝の話=くわえ楊枝して怒られたことがある≫
生意気盛りの頃、食べ物屋のおやじから、くわえ楊枝して外へ出ようとして、怒られたことがある。
「若いうちにそんな恰好しちゃいけませんよ。くわえ楊枝は、みっともないから、およしなさい」人間というのは自分のことが分からない。だから、他人が言ってくれたことはやっぱり素直に聞かないと・・・。
≪サングラスの話≫
「冬でも、室内でも、夜でもかけているわね。このごろ。それがファッションということかもしれないけれど、相手と話すときにサングラスをかけているという事は、まことに失礼にあたる訳ですよ」
「なぜ失礼かというと、サングラスでもって自分の眼の色を相手に見せずに、相手の眼の色だけをサングラスの底から見て話すという事だからね。これほど卑怯な、無礼な話はないわけです」
≪気分転換≫
「気分転換がうまく出来ない人は仕事も小さくなってくるし、体も壊すことになりがちだね。会社でも嫌なことばかりに神経を病むような人は、やっぱり体を壊してくると思うんだよ」
「まあ、若い時代には、いろんなものに首を突っ込んでおくことですよ。そうすれば気分転換のケースをたくさん持つことになるんだよ。若いうちから色々なものを貪欲に吸収しようとしている人ほど、世の中に出て気分転換することがうまくなるわけ」
≪贈り物&誠意の問題≫
「一生懸命このネクタイを選んでくれたんだなあという事が通じれば、それはそれでいいと思う」誠意の問題。
「年賀状を出すなら出すで、やはり自分なりのものを考えないとねえ。会社で刷った年賀状の所にてめえの名前を書いて出すようなのは男じゃないんだよ。一生懸命この年賀状を作りましたという誠意のしるしとして、自分で描いた絵を必ず入れるんです。それだけの誠意をこめて作らないといけないと思うから」
≪他人に時間の上に置いて迷惑をかけることは非常に恥ずべきことなんだ≫
「我々の仲間で、年に2回ある会合に必ず毎回遅れてくるのが2人いるんだよ・・・」
「自分の人生が一つであると同時に、他人の人生も一つであるということだ。自分と他人の付き合いでもって世の中は成り立っているんだからね。だから時間がいかに貴重なものかという事を知っていれば、他人に時間の上に置いて迷惑をかけることは非常に恥ずべきことなんだ」
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