2020年の東京オリンピック、ゴルフの会場は霞ヶ関カンツリー倶楽部に決定した。昨年から、低迷する日本のゴルフ界を変えようと「日本ゴルフ改革会議」に参加。一番緊急性の高い問題から手をつけようと、この会場に関する問題についてはいろいろとやってきたのだが…。
11月8日、我々改革会議がアジェンダ001を提出したことを受けて、超党派ゴルフ議員連盟がJGAをヒアリングすることになった。竹田恆正副会長、永 田圭司専務理事、そして戸張捷さんの3人が来て霞ヶ関に決まった理由を説明し、議員の皆さんも納得されて会はお開きに。我々はオブザーバーとしての参加だ から、質問はできなかったんだけど改革会議の蟹瀬誠一副議長が「プライベートクラブで開催されることの矛盾、およびパブリックであることの意義をぜひ考え て欲しい」と参加者の皆さんに伝えたんだ。
ボクが言いたいのは正にこのこと。霞ヶ関は“閉ざされた”会員制のプライベートコース、方やボクが様々な媒体で推している若洲ゴルフリンクスは東京都の持ち物で“開かれた”パブリックコースなんだよ。
若洲は廃棄物による埋立地を整備して出来たコース。散水は工業用水、エネルギーは太陽光を利用している。東京の都心から近く、新宿のビル郡も見れればスカイツリーも見れる。景観も素晴らしく、大都市・東京を象徴するようなコース。
それにパブリックだから誰でも自分で予約できる。東京オリンピックでゴルフがあれば普段ゴルフをテレビで見ない人も見るかもしれない。その人たちが“こ こでプレーしてみたいな”と思ったら、できる。霞ヶ関はエクスクルーシブ(閉鎖的)なコース、会員かもしくは紹介がないとプレーはできない。どちらがゴル ファーにとって有益なのか、考えるまでもないと思う。
確かにコースの改造などは必要だけど、オリンピックの予算は5500億円と言われていて、お金はかかるけどこれからゴルファーが利用できるのだがら全部 がマイナスなわけではない。霞ヶ関も改修を行うようだが、それは全部コース側が費用を持つそうだ。メンバーたちの会合では反対のほうが多いとの話が聞こえ てきているから、もしかしたらこれから揉め事が起こるかもしれない。
オリンピックの開催は大事だけど、その後も同じぐらい大事。オリンピックの28競技の中でゴルフだけが公共性の無い会場でやることに違和感を感じないの だろうか。本来ならこの問題はメディアやゴルフ産業、用品メーカーがもっと声を上げるべきだ。これからゴルフ人気を90年代のバブル期のように戻すにはゴ ルフをこれまでのような“金持ちのスポーツ”から“大衆に開かれたスポーツ”にイメージ転換することが大事だと思う。
オリンピックはそのまたとないチャンス。若洲で開催し、それをレガシー(遺物)にて日本のゴルフが生まれ変わる契機にしてはどうだろうか。
今のところ、会場の変更はないだろう。それでも声を出し続けて生きたいと思う。この件では事務所に怪文書が届いたりもした。別にボクは若洲に決まったって、なにか得をするわけではない。ゴルフ界の“これから”を思って言ってるだけなんだけど。
文 タケ小山(プロゴルファー、ゴルフ解説者)
<ゴルフ情報ALBA.Net>