<シンポジュームに登壇して>
過日(10月某日)、加盟する日本監査役協会の全国会議の一コマ(シンポジュウム)に登壇する機会があった。
有名人でもない、学識経験者でもない、先生と呼ばれる〝士″でもない私が、全国規模の会議で登壇ということは、この年になって最初で最後・一世一代の大舞台(?)かもしれない。と言っても単独で講演をした訳ではなく、4人で公開討論会にそれぞれ発表(表向きはディスカッションということになっている)を行ったということなのだが・・・。それにしても、全国会員8000名の中から6名が指名され、そのうちの一人にと考えると、どうして私が?の感がない訳でもない。ともかくも、身に余る光栄と思うしかない。
その日、ホテル(ヒルトン福岡シーホーク)で6時起床。前夜の宿泊場所としては文句のない快適な環境であった。やっと少し明るくなった窓(17階)から海辺を眺めた。海の色はまだどんよりした色であったが、目覚めが良かったせいか気持ちの良い朝と感じた。着替える前に一通りナレーションの練習をしてみた。もう年だから、朝の発声・声の出はあまりよくないので、一度朗読した方が少しはマシだろうと早目に起きたつもりである。
私の決められたテーマは3つ。ほかに最後のまとめとして感想などを含め、ざっと25分ほどの朗読量となる。ゆっくりと声を出し約30分ほどかけて読み終える。
9時からの登壇であるが、8時頃に控室に集合とのことであった。本番前に1回リハーサルをやりましょうとのことで会場に入る。もうすでに会場に来て座っている人もいる。幸いにも顔見知りの人達だ。こんなに早く(1時間近くも前に)来て・・・と思われたが、席を確保するためらしかった。それには構わず、ともかくリハーサルを行う。先程、部屋で発声練習をしたせいか、声の出はまずまずであった。立ち会ってくれた先生から、OKサインだ。(夜のカラオケでも、1曲目を歌うときは声の出が悪いのだから・・・、朝の発声練習は正解!であった。)
さて本番。司会者兼報告者のM氏は前の会議(2日前)で経験済みで、要領よくスムースにオープニングを行い、我々をうまく誘導してくれた。私は2番目の発表である。過去に、株主総会等で大衆の面前で話す機会があったので余り緊張もせず、不思議とドキドキ感もなかった。こういう場面では、必ず原稿を大きめの字で作ることにしている。
話し方は、ゆっくり、口を開いて、かみしめて、かつ段落に気をつけて行うのが鉄則。早すぎないこと、聞く人に分かりやすくかつ朗読にならないように、それなりに客席も時々見ながら・・・と心掛けながら司会者に促されて開始。。
私の与えられたテーマは、3つあって、それぞれの場面でその都度指名されて発表する。この内、前半は2テーマについて発表。
約1時間半程で前半終了。ここで20分余りの休憩に入る。
休憩時間中に、会場から、前半部分の報告・発言に対する質問を書面で受ける。時間が少ない中で6件ほどの質問状を手分けして担当を決め、立ち会ってくれた相談員の先生達からのアドバイスを聞きながら回答の要点などを急いですり合わせをする。私宛の名指し質問はなかったが、関連した質問があって、この後の報告の中で付言することとした。
後半の部では、まず、前半の質問に対する回答をそれぞれ分担して行い、その後に各人のテーマごとの発表に移る。質問は6問あったが、スムースに回答したこともあって、予定より早めに進行しているように思われた。
登壇者(司会者を含み4名)は、司会者の指名によりあらかじめ指定されているテーマを発表するのだが、並行して、あらかじめセットされた自分のレジュメをパソコンで操作しながら話を進める。登壇者の後方に大型スクリーンがあって、客席に向けてレジュメが映し出される。客側はスクリーンを見ながら聞くもよし、あるいは、席上配布されている資料集のレジュメ(スクリーンと同じもの)を見ながら聞いてもいい。その為に発表者は、「資料の○○ページを参照ください」と案内をすることも忘れてはならない。
聞いていると、話し方が早口になる人(画面送りが遅れがちになっていた)、原稿を読んでいるためにそれに気を取られ、ついつい画面送りがおろそかになる人、などなど、人間は目(で読み)と声(を出しながら)と画面(パソコンの操作)をうまく連動させて滑らかに進めるのがなかなか難しいものだとつくづく感じさせられた。
(これに似た現象は街でよく見る。スマホを見ながら階段を上り下りする人はだいたい動作が遅い、又は、ふらついている。車を運転しながら、ナビを見たり、テレビを見たりしているとハンドルを取られる・・・危ない!のです)
私の場合、全般に、ユックリズムと時々前方を向くことを心がけ、発表原稿に、資料の参照ページと画面送りのタイミングを書き込んでおいたので、画面の表示とナレーションは同期していたと思う。やっぱり、原稿読みながらの場合、すべての動作を原稿に書き込み、動作手順を単純にしておいた方がいいと思う。いざとなると、何かを漏らしたり、忘れたりすることがあって・・・特に年を取ると顕著だが、あちこちに気が回らなくなる。一枚の紙に、順序良く動作・言葉を整理しておくことが鉄則と思う。
後半は、質疑・応答が予想より早めに終了したので、押せ押せで進行が早目となり、各自それなりに時間延ばしを意識したものの、結局10分ほど早めの終了となった。司会者M氏は色々と時間延ばしの工夫されていたが・・・ご苦労様でした。
壇上からの印象では、会場は超横長(奥行15mくらい、横幅50メートル位。小会議室を4室くらい横に繋げた形でした)なので、壇上からは左右はせいぜい20メートルくらいしか見えない。よっぽど横を向かないと左右は見渡せないほどであった。前方の10列くらいには、実務部会などで知った顔も結構座っていて(そのうちの何人かは朝早くから席取りをしていた人達)、ヤーっと声がかかりそうな雰囲気だった。そういうこともあまり固くならずに済んだことだったかもしれない。
会議を通して、皆さん静かに真面目に聞いて頂いた感じがする。話の内容が、決して高度な理論や学説等を話した訳でなく、言ってみれば、皆さんの身近な話、心当たりのある話、しゃべる側もいつもの仲間たち、そんな雰囲気だったと思うので、270名の皆さんが3時間余りの間、真剣にきいてくれて誰一人席を立つ人もなく最後までお付き合い頂いたと思われ、発表側としては大変ありがたかったと思う。
<以下・・次回>